旅の途中−ブログ篇−
                  「根本豊の Beyond The Radio」
旅の途中   万有引力物語(9)
2001年 10月 04日 (木) 19:03 | 編集
「エジンバラ演劇祭に行ってみない?」
86年5月の或る日、アトリエに電話をかけてきたのは、山海塾など舞踏系の海外コーディネートを手掛ける花光潤子女史だった。

 ほとんど面識はなかったのだが、思いっきりの良い喋り口で切り出され、我々も漠然とは考えてはいたが実現は遠いだろうなと思っていた海外公演が、俄に現実のものとなってきた。

 演目は「砂漠の動物園」を改訂した「SUNA」。
一年前に吉祥寺で公演し好評を博した手応えのある作品だ。
 さて問題は金だ。ある程度はこちらで準備してといわれても、
その「ある程度」が一体いくら位のものやら見当もつかない。
今だから言えることだが、シーザー家や当時制作だった女性の実家などから数百万円単位の借金をし、取りあえず金は揃った。
向こうでの入場料収入のみが返済金の頼みの綱である。

 そしていよいよ渡英。桟敷時代は九條さんにおんぶに抱っこで済んだが今回はシーザーや私がその役回りを演じなければならない。

「お金は落とさないか、団員は迷子にならないか、クスリに手を出す奴はいないか」公演よりもそっちの心配が先立つまさに引率の先生のような心境である。

 そして何せ貧乏旅行。美術小道具全て手持ち。
大きな鉄枠や無数にある伝統の「無人島」。
空港カウンターの係員の怪訝そうな顔「何に使うの?」
「イヤ実は体を鍛えるもので常に身近にないと不安で…」。
バレバレの言い訳をしながら我々は機上の人となった。

そして英国での泣き笑いの顛末は次回へ。
(ホントに泣き笑いなんデ) (続く) 根本 豊
copyright (C) 旅の途中−ブログ篇− all rights reserved.
designed by polepole...